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事業の目的から考えるインテリア――rooMakeが目指す「空間づくりのハブ」

民泊やオフィス、店舗、モデルルームなど、事業で使われる空間において、インテリアは単に見栄えを整えるためだけのものではない。利用する人にどのような印象を持ってもらいたいのか。その空間を通して、事業者は何を実現したいのか。目的によって、必要となる家具や照明、空間のつくり方も変わってくる。

一方で、「どこまでインテリアに予算をかければいいのか分からない」「家具や照明まで含めて誰に相談すればいいのか分からない」といった悩みを抱える事業者もいる。

こうした空間づくりの課題に対し、特定の家具ブランドやメーカーに縛られず、目的や予算に応じたインテリアを提案しているのがrooMake株式会社(ルーメイク)だ。

同社は「空間づくりを、もっと身近に」を掲げ、家具・照明・カーテン・アート・インテリア小物などを幅広く組み合わせたインテリアコーディネートを手がけている。個人住宅からスタートしたサービスを、現在は民泊・宿泊施設、オフィス・店舗、モデルルームなど、法人・事業者向けにも広げている。

2026年8月には、法人向けインテリアコーディネートサービスの強化に伴い、法人向けWebページをリニューアル。なぜrooMakeは法人の空間づくりへと事業を広げたのか。そして、同社が目指す「空間づくりのハブ」とはどのようなものなのか。

経済報道テレビでは、rooMake株式会社代表の張亨先氏に、事業を立ち上げた背景や法人向けサービスへの展開、建築士事務所・株式会社studio accaとの連携、そして今後目指す空間づくりについて話を聞いた。

なぜrooMakeを立ち上げたのか――家具選びで感じた課題

rooMake株式会社 代表取締役 張亨先氏(左)、株式会社studio acca 代表取締役 石井勇人氏(右)
rooMake株式会社 代表取締役 張亨先氏(左)、株式会社studio acca 代表取締役 石井勇人氏(右)

rooMake代表の張氏は、広告代理店での営業を皮切りに、アパレル業界での販促・プロモーション、国内インテリアブランドでの販促・広報などを経験してきた。

インテリアブランド在籍中には、仕事への理解を深めるためインテリアコーディネーターの資格を取得。その後、友人や知人から部屋づくりについて相談を受ける機会が増えたことで、家具選びに悩む人の多さに気づいたという。

新居を購入したものの、どの家具を選べば空間に合うのか分からない。限られた予算の中で、どの家具を選び、どのように配置すればよいのか判断できない。そうした悩みに対し、家具ブランドでもコーディネートサービスは提供されているが、提案は基本的に自社商品が中心となる。

張氏が感じたのは、特定のブランドに縛られず、利用者の目的や予算に合わせて商品を選べるサービスの必要性だった。

張氏:「困っている人がいる。でも、ブランドではどうしても自社商品だけになってしまう。もっと中立的に、いろいろなブランドからいいとこ取りができるサービスがあったらいいと思いました」

こうした経験を背景に、張氏は2025年5月に独立。rooMakeの事業をスタートした。

「写真映え」だけではない――目的から考える空間づくり

インテリアコーディネート例
インテリアコーディネート例

rooMakeが重視するのは、単に「見栄えのいい空間」をつくることではない。

法人向けの案件では、依頼者へのヒアリングに加えて現地調査を行い、家具の選定から設置・納品までを一貫して支援する。その際、張氏が最初に考えるのが「何のための空間なのか」という点だ。

民泊であれば、写真での見栄えだけでなく、宿泊者の滞在中の満足度も求められる。オフィスや店舗であれば、その空間を使って事業者が何を実現したいのかによって、必要な家具や配置、照明も変わってくる。

張氏:「この空間で何を実現したいのかを踏まえたうえで、空間づくりをすることが必要だと思っています」

そこには、張氏が広告代理店などで培ってきた経験も生きている。プロジェクトの目的を整理し、そこから必要な施策を考える。対象が広告から空間へ変わっても、その考え方は共通している。

空間づくりがビジネスを変える――ホームステージングの事例

こうした「目的から考える空間づくり」が、実際のビジネス成果につながった例もある。

rooMakeがホームステージングを担当したある物件では、入居前の空間に家具を配置し、生活のイメージを持ちやすい空間をつくった。張氏によると、それまで約1カ月半入居が決まっていなかった物件に、実施後約3週間で7件の申し込みが入ったという。

張氏:「ちゃんと空間づくりでビジネスに役立てる意味があると感じました。」

空間を整えることは、単に見た目を変えるだけではない。事業者が抱える課題の解決にもつながり得る――。この経験は、rooMakeが法人向けの取り組みを広げる一つのきっかけとなった。

建築×インテリア――studio accaとの連携

rooMakeが今後、力を入れたいと考えているのが、建築・設計分野の専門家との連携だ。

今回の取材には、株式会社studio accaの代表取締役で、一級建築士として建築・空間設計を手がける石井勇人氏も参加いただいた。

studio accaでは、地方のリゾート施設や貸別荘などを手がける機会があり、建物の設計だけでなく、家具や寝具、カトラリーなどを含め、利用できる状態まで整えて引き渡すことを求められるケースもあるという。特にこうした案件では、施主自身が別の仕事を持っていることも多く、空間に必要なものを一つひとつ選定・手配することが難しい場合もある。

石井氏は、rooMakeとの連携についてこう話す。

石井氏:「僕らが設計の部分を担って、インテリアの部分を連携してご協力いただければと思っています。家具だけでなく、小物などのスタイリングまでお願いできると非常に助かります」

建物の設計に加え、家具や寝具、食器、アート、オブジェといった要素まで揃うことで、利用者が実際に過ごす空間が形づくられていく。studio accaでは、家具などを含めた提案について、顧客から「設計事務所でそこまでやってくれるんだ」と驚かれることもあるという。

一方で、建築・設計とインテリアでは、それぞれ求められる専門性も異なる。石井氏は、家具の選定や配置に加え、今後は造作家具や壁紙なども含め、互いの専門性を生かした提案への期待を語った。張氏も、建築とインテリアが分断されることへの課題を感じている。

張氏:「素敵な建物が建っても、中に入るものがちぐはぐだったり、クオリティがずれていたりすると、すごくもったいないと思います。家具だけでなく、食器やアート、オブジェなどによっても、空間の印象は大きく変わります」

建築・設計を担うstudio accaと、その先のインテリアやスタイリングを担うrooMake。それぞれの専門性を組み合わせることで、建物から内部の空間づくりまでを、より一体的に提案できる可能性がある。

張氏は今後、studio accaに限らず、ものづくりや建物づくりに携わる事業者との連携も広げていきたいと考えている。

目指すのは「空間づくりのハブ」

rooMakeが今後目指しているのは、「空間づくりのハブ」となることだ。

張氏がrooMakeを立ち上げてから感じてきた課題の一つに、家具やインテリアのコーディネートを専門家に任せるという選択肢が、まだ十分に知られていないことがある。

家具やインテリアは「自分で選ぶもの」と考えられがちだ。しかし実際には、数多くのブランドから商品を探し、店舗を回り、価格や品質、納期を比較しながら一つひとつ揃えていくには、多くの時間と労力がかかる。実際にrooMakeを利用した顧客からも、家具選びにかかる時間や労力を負担に感じていたという声が聞かれるという。

特に仕事や子育てなどで忙しい人にとって、理想の空間を自分だけでつくり上げることは簡単ではない。一方で、大規模な内装工事や設計・施工会社への依頼を必要とするほどではないケースもある。「いい感じの空間にしたい」と思っても、何から始めればいいのか分からない。張氏が応えようとしているのは、こうした既存サービスの間にあるニーズだ。

張氏:「大きな設計施工会社さんに依頼するほどではないけれど、自分ではどうしたらいいか分からない。そういう方々の間を取っていきたいと思っています。小回りが利く、空間・インテリアづくりのパートナーになれたらと思っています」

そのため、rooMakeがすべての工程を自社だけで担うことを目指しているわけではない。張氏自身が中心となって家具やインテリアを提案しながら、必要に応じて設計や施工など、それぞれの専門家と連携する。前章で紹介したstudio accaとの関係も、その一つだ。

張氏:「内装工事ができるわけでも、原状回復ができるわけでもありません。いろいろな会社さんとつながって、その目的を達成するために横連携していきたいと思っています」

顧客が実現したいことを聞き取り、そのために必要な家具を選ぶ。さらに、自社だけでは対応できない領域では適切な専門家とつなぐ。張氏が「空間づくりのハブ」という言葉に込めているのは、こうした役割だ。

張氏:「どう選べばいいか分からない。何から始めればいいか分からない。誰に相談すればいいか分からない。そういうところで中間に立って、フラットに最善を導き出せるパートナーになれたらと思っています」

理想と予算の間に立つ

こうした考え方は、個人向けのインテリアコーディネートにも共通する。rooMakeでは特定のブランドに限定せず、予算をかける部分と抑える部分を整理しながら商品を選定する。

張氏:「いろいろなブランドを横断して、お金をかけるべきところと、『ここはIKEAでもいいですよ』というところまで予算配分を考え、お客様に合った理想の暮らしを提案することを大事にしています」

張氏は、こうした柔軟な対応を「小さい会社だからこその小回り」と捉えている。

まずは目の前の案件から

現在、rooMakeは個人住宅に加え、民泊施設や賃貸・販売物件、オフィス、ネイルサロン、マッサージサロンなど、法人・事業者向けにも対応領域を広げている。そこには、張氏が法人向けの案件を通じて、空間づくりが事業にも影響を与え得ると実感したことがある。

オフィスであれば、企業らしさを表す壁紙や家具が、そこで働く人のモチベーションにつながることもある。店舗やサロンであれば、訪れた顧客が受ける印象にも空間は関わってくる。張氏は、こうした小規模なビジネスを営む事業者の力にもなりたいと話す。

一方、rooMakeは2025年に立ち上がった事業だ。張氏自身、現在はまだ実績を積み重ね、サービスを知ってもらう段階にあると捉えている。今後はSNSなどを通じて事例を発信するとともに、さまざまな顧客との接点を増やし、まだ顕在化していない空間づくりのニーズを探っていく考えだ。

張氏:「まずは目の前の案件で、しっかり満足していただけるように積み重ねることが大事だと思っています」

単なる家具選びの支援にとどまらず、必要に応じて設計・施工などの専門家とも連携し「何から始めればいいのか分からない」という人の最初の相談先となり、理想の空間づくりを支えていく。rooMakeが目指す「空間づくりのハブ」は、そうした空間づくりの新たな選択肢をつくる試みでもある。

記事要約

  • 家具選びの悩みから生まれたrooMake:rooMake代表の張亨先氏は、広告代理店やアパレル業界、インテリアブランドでの経験を経て、2025年に独立。特定の家具ブランドに縛られず、顧客の目的や予算に応じて商品を選べるインテリアコーディネートサービスを立ち上げた。
  • 事業の目的から考える空間づくり:人住宅からスタートしたサービスを、民泊施設やオフィス、店舗、モデルルームなど法人・事業者向けにも展開。単に見栄えを整えるのではなく、その空間で何を実現したいのかを踏まえ、家具や照明などを提案することを重視している。
  • 空間づくりがビジネスにもたらす可能性:ホームステージングを担当した物件では、家具の配置によって生活のイメージを持ちやすい空間を演出。張氏によると、約1カ月半入居が決まらなかった物件に、実施後約3週間で7件の申し込みがあったという。こうした経験が、法人向け事業を広げるきっかけの一つとなった。
  • 建築とインテリアの専門家による連携の可能性:rooMakeは、株式会社 studio accaとの連携を視野に入れ、建築・設計から家具や小物のスタイリングまで、より一体的な空間づくりを目指している。今後は、互いの専門性を生かしながら、顧客の目的に応じた提案を行っていく考えだ。
  • 目指すのは「空間づくりのハブ」:rooMakeが目指しているのは、家具選びや空間づくりについて、何から始めればよいか分からない人の相談先となること。必要に応じて設計・施工などの専門家とも連携し、顧客の理想と予算に応じた空間づくりを支援する存在を目指している。

取材・文:青山幸正

企業概要

会社名rooMake株式会社
事業内容インテリアコーディネートサービス
公式サイトhttps://roomake-interior.com/
法人向けhttps://roomake-interior.com/tobusiness

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