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なぜ日本企業は伸びきれないのか――上場企業の価値を引き上げる“伴走型投資”の戦略とは
グロースパートナーズ株式会社
代表取締役 古川 徳厚様
- 目次
日本の株式市場、特にグロース市場やスタンダード市場には、独自の技術やサービスを持ちながらも、資本や経営ノウハウの不足により、そのポテンシャルを十分に発揮できていない企業が数多く存在する。こうした企業に深く入り込み、経営者と二人三脚で時価総額の向上を目指すのが、グロースパートナーズ株式会社だ。
代表取締役の古川氏は、理系の研究者からマッキンゼー、そして日本を代表する投資ファンドを経て独立したという異色の経歴を持つ。同氏が掲げるのは、単なる資金提供に留まらない「現場徹底主義」の伴走型支援である。かつてマッキンゼーで4年ほどコンサルティングに従事し、その後投資ファンドの最前線で数多くの実績を積み上げてきた古川氏が、なぜ今、自らハンドルを握り起業という道を選んだのか。その「想い」と、同社が描く日本企業の未来像に迫る。
宇宙・ロボットの研究者から投資の世界へ ― 異彩を放つキャリアの原点
古川氏のキャリアは、意外にも「宇宙」や「ロボット」の研究から始まっている。MIT(マサチューセッツ工科大学)での研究や、テレビでも話題となった「ジャンケンに必ず勝つロボット」の開発など、最先端のエンジニアリングの世界に身を置いていた。その理系的思考、すなわち「物事を論理的に解明し、最適解を導き出す姿勢」は、現在の投資事業の根底にも流れている。
研究の世界からビジネスの最前線へと舵を切ったきっかけは、マッキンゼー・アンド・カンパニーへの入社だった。そこで大企業のコンサルティングプロジェクトに関わる中で、企業を支援し、変革していく面白さに目覚めたという。また、同社の自由闊達な風土も大きな刺激となった。同期や先輩・後輩たちが次々と起業し、中には上場企業を創出する者も現れる環境。そうした起業家精神が身近にある中で、「自分もいつか、自らの力で挑戦してみたい」という想いが芽生えていった。
その後、古川氏は国内屈指のプライベートエクイティ(PE)ファンドであるアドバンテッジパートナーズへと籍を移す。ここで約12〜13年にわたり、数々の著名な投資案件に従事した。特にユニークだったのが、上場を維持したまま企業に出資し、経営支援を通じて時価総額を向上させるという投資スタイルだ。古川氏はこの投資責任者として30〜40件もの実績を積み上げ、ゼロからチームを立ち上げ20名規模まで拡大させるなど、社内独立に近い経験を積んだ。資金調達、採用、案件発掘という投資ファンドに不可欠な三要素を実戦で磨き上げたことが、独立への確固たる自信となったのである。
「数万人」ではなく「顔の見える」経営を変える ―― 独立に込めた情熱
創業から約3年、グロースパートナーズを設立した古川氏が、投資ファンドという形態にこだわったのには明確な理由がある。マッキンゼー時代の経験から、数万、数十万人規模の大企業を変えることの難しさと、それにかかる膨大な時間を肌で感じていた。一方で、同社がターゲットとする規模の企業であれば、数人のプロフェッショナルが経営に深く関わることで、劇的に会社を変容させることが可能となる。
古川氏:「年単位でお付き合いし、会社が良くなっていくプロセスに深く関与できることが魅力だ」
独立後は、自らもプレイングマネージャーとして全案件に深く関わり、投資先の経営者と膝を突き合わせてディスカッションを重ねるスタイルを貫いている。組織が大きくなっても最前線に立ち続け、経営者を直接サポートしたいという純粋な思いが、同社の原動力となっている。
現在、同社は運用資産額(AUM)約170億円を誇り、投資先は上場企業11社、未上場企業5社の計16社に達している。こうした投資活動を通じて、投資先企業の価値向上を実現し、投資資金を2倍、3倍、場合によっては4倍といった水準で回収し、投資家へリターンとして還元していくことを目指している。
事業の根幹を支えているのは、資金を託す投資家の存在だ。古川氏は、案件成立に向けて資金が必要な局面で投資家が応じてくれた経験について「非常にありがたかった」と振り返る。
預かった資金に対して最大限のリターンを返すことは、同社にとって最も重要な責務の一つであり、その意識が投資判断や経営支援の精度を一層高めている。単なる資金提供者にとどまらず、長期的な価値創造を共に目指すパートナーとしての関係性が、同社の投資活動を下支えしている。
小規模な上場企業をプライム市場へと押し上げる、あるいは、地方で光る技術を持つ未上場企業のオーナーからバトンを引き継ぎ、さらなる成長を遂げさせて次の買い手へと繋ぐ「企業の成長の触媒」となることが、グロースパートナーズの存在意義なのだ。
「開店から閉店まで店舗に張り付く」現場徹底主義のコンサルティング
グロースパートナーズの最大の強みは、単なる「数字の管理」に留まらない、徹底した現場介入にある。古川氏やメンバーは、投資先の現場を診断するために徹底したアクションを起こす。例えば、外食企業への投資であれば、メンバーが開店から閉店まで店舗に張り付き、スタッフ全員の動きを記録する。一つの作業に何秒かかっているかをストップウォッチで何度も計測し、1回の訪問ごとに十数個もの具体的な改善案を提示、それを全店へ横展開していく。
また、営業現場においては1日12時間に及ぶ同行取材を行うこともある。どのような資料を使い、どのような言葉で顧客と対峙しているのかを克明に分析し、生産性や成約率を高めるための具体的なアドバイスを行う。こうした「泥臭い」とも言える徹底した伴走支援こそが、他社との決定的な差別化要因となっている。
投資先企業からは、「ここまで現場に入ってくれるのか」と驚きの声が上がるという。第三者の視点が入ることで組織に緊張感が生まれ、会社全体が「再成長」に向けて動き出す。実際に支援を受けた企業の役員からは、資金繰りの改善だけでなく、経営の質そのものが向上したことへの感謝や、時価総額が向上したことによるストックオプションの価値上昇など、具体的な成果に対する喜びの声が寄せられている。
非連続な成長への障壁を打破。経営者の背中を押す「辛抱強さ」
経営改革の道のりは平坦ではない。古川氏が「もどかしさ」を感じる瞬間は、日本企業の多くが直面する「成長への躊躇」にある。成熟した日本市場において、既存事業の延長線上だけで成長を続けることは容易ではない。非連続な成長を遂げるためには、新規事業の立ち上げやM&Aといったリスクテイクが不可欠となる。
しかし、投資先の経営者がリスクを前に足踏みしてしまうことも少なくない。古川氏は、たとえ1社や2社の成約に繋げるためであっても、50社ものM&A案件を紹介し続けるといった粘り強いサポートを行う。
また、企業のカルチャー変革も一朝一夕にはいかない。売上至上主義から、利益額や利益率、そして時価総額を意識する組織への転換を促す際、社員全員の意識を統一するには半年から1年という月日が必要になる。こうした時間のかかる変化に対しても、古川氏はしつこく、誠実に、そして丁寧にサポートを継続する。この「伴走」という言葉の裏にある覚悟こそが、同社の信頼を支えている。
海外投資家へのアクセスとチームの強化
創業から着実な実績を積み上げてきたグロースパートナーズだが、古川氏はさらなる高みを見据えている。今後の課題として挙げているのは、チームの「層の厚み」と「投資家層の拡大」である。
現在、同社では30歳以下の若手メンバーを積極的に採用し、多くの案件を通じて急速に育成している。これらの若手が経験を積み、質・量ともにチームが強化されることで、より多角的な支援が可能になると考えている。
また、資金調達の面では、現在国内9割/海外1割と国内が中心となっている投資家構成を、海外投資家比率を高める方向へとシフトさせている。さらに、年金基金、銀行、保険会社といった機関投資家の開拓も道半ばであり、運用資産額のさらなる拡大に向けて戦略的に取り組んでいる。これらにより、より大規模な投資とインパクトのある経営支援を可能にする構えだ。
強みを知り、マーケットを解像度高く捉える
最後に、起業を目指す人々や新しい挑戦を志す人々に対し、古川氏は自らの信念に基づいたアドバイスを送った。
古川氏:「自分が没頭してやりたいと思えることを見つけることが、一番楽しく取り組める秘訣だ。その上で、自分の強みや弱みを客観的に分析し、マーケットを高い解像度で捉えることが重要になる」
自らの付加価値は何か、競合との差別化はどこにあるのか。それを常にアップデートし、時にはピボットしながらも挑戦し続けること。そして何より、共に歩める優秀なパートナーやメンバーを見つけることが成功への近道であると説く。
古川氏自身の好奇心は尽きることがない。グロースパートナーズとしての基盤を固めつつ、将来的にはまた新たな投資スタイルを確立したいという野心も持ち合わせている。上場企業の再生を支える「成長パートナー」として、そして未上場企業を成長させる「価値創造のプロ」として、グロースパートナーズの挑戦はこれからも日本の産業界に新たな風を吹き込み続けるだろう。
※運用資産額(AUM)と投資先数について
グロースパートナーズ株式会社が運用する「GP上場企業出資投資事業有限責任組合」等は、金融商品取引法に基づき適切に管理・運用されている。直近の投資実績が順次公開されており、記事内にある「運用資産額約170億円」「投資先16社」という数字は、これら一連の投資活動の集積に基づいている。
グロースパートナーズ株式会社 プレスリリース
グロースパートナーズ株式会社 投資先
記事要約
- 創業の背景と経歴:代表の古川氏はMITでの研究経験も持ち合わせている元ロボット研究者であり、マッキンゼー、アドバンテッジパートナーズを経て独立。理系的思考と豊富な投資経験を併せ持つ。
- ビジネスモデル:投資家から預かった資金を企業(上場・未上場)に投資し、コンサルティングを通じて企業価値を向上させ、リターンを得るPEファンドを展開。
- 最大の強み:「現場徹底主義」の伴走型支援。店舗に1日張り付いて秒単位で作業を計測するなど、泥臭いまでの実務支援を行い、具体的な改善を提案する。
- 経営理念:小規模な上場企業をプライム市場へ導くことや、地方の優良企業を成長させて次世代へ繋ぐことに意義を見出し、経営者と共に歩む。
- 今後の展望:若手メンバーの育成によるチーム強化、海外投資家や機関投資家の開拓を通じた運用資産額の拡大を目指す。
取材企業の概要
- 企業名
- グロースパートナーズ株式会社
- 住所
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〒152-0035
東京都目黒区自由が丘 2-16-12 RJ3
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