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「デジタル赤字」と「労働人口減少」に挑む——RE-X竹内氏が語るAI×OSS時代のITコンサル戦略
株式会社RE-X
代表取締役 竹内一成様
- 目次
日本のIT業界が抱える構造的な課題に対し、独自の「哲学」と「怠惰の合理性」を拠り所に、現場から向き合い続ける一人の経営者がいる。株式会社RE-Xの代表、竹内氏だ。大規模システム開発の最前線で約17年にわたり研鑽を積んできた彼が、なぜあえて「一人親方」という形態で起業し、そして今、AIを駆使したプロダクト開発による資金調達へと舵を切ろうとしているのか。
「大企業病」への違和感から始まった創業の原点、そして日本経済が直面する課題に対し、一つの解を提示しようとする構想についてその胸の内に迫った。
「大企業病」への違和感と、テクノロジーへの純粋な憧れ
竹内氏が起業を決意した背景には、日本の大企業におけるシステム開発の在り方に対する強い違和感があった。
竹内氏:「ネガティブな理由を言えば、会社のやり方が合わなかった。皆が何を考えて仕事をしているのか見えず、いわゆる『大企業病』に馴染めなかったのです」
テクノロジーを愛し、技術に深く根ざした視点を持つ彼にとって、世の中にはオープンソースソフトウェア(OSS)のような優れた、かつ効率的な選択肢が溢れているにもかかわらず、多くの現場がそれに目を向けず、膨大な「人手」で無理やり解決しようとする姿は非効率に感じられたという。
竹内氏:「世間が向かっている良い方向に自分たちも動かしていきたい。知らないことで苦しんでいる人たちがいるのなら、自分の力で広く世の中を良くしていきたい。それが起業の想いです」
竹内氏が目指したのは、単なる受託開発ではない。世界中の優れたエンジニアたちが作り上げるOSSへの憧れ、そして自分自身も「提供する側になりたい」という技術者としての純粋な欲求が株式会社RE-Xの原点となっている。
「経営者の体」に馴染ませるための慎重な助走期間
2022年に設立された同社だが、竹内氏は当初会社員としての籍を残したまま起業するという、本人曰く「ズルい」手法を選んだ。しかし、その裏には極めて冷静な計算と未知の領域に対する謙虚な姿勢があった。
竹内氏:「ずっと現場にいたので、経営のサイクルが見えていなかった。税理士とのやり取りやランニングコストなど、年間のサイクルを経験しておかないと経営に飲み込まれてしまう、という不安がありました」
在職中の「活動しない期間」を使いホームページに記載すべき内容を練り、他社の分析を行い、新しい生き方に体を馴染ませていったという。ITという専門性がある以上、その領域で勝負することに迷いはなかったが、あえて時間を置くことで着実に経営者としての土台を築き上げたのだ。本格的に始動したのは2023年。自身のコンディションを整え、世間と対等に話ができる状態になってからの満を持しての船出だった 。
「怠惰の合理性」と「哲学」が導く意思決定
経営者としての竹内氏のスタンスは独特だ。自らを「怠惰な人間」と称するが、それはビジネスにおける「究極の合理性」の裏返しでもある。
竹内氏:「やらなくていいことはやらない。基本的には何もしたくないからこそ、何もしないための選択をする。一方で、何かをやると決めた時の突破力や段取りは非常に大事にしています」
この「必要なことだけに注力する」という姿勢は、意思決定の軸として機能している。また、彼の思考の根底には「哲学」がある。特に対立する概念の「調和」と「均衡」を重視している。
竹内氏:「経済的・合理的という言葉はよく使われますが、経済的であることと合理的であることは、本来対立する側面も持っています。それらをうまく調和させ、相手の強みを活かしながら成長していく。対立の後に生まれる新しい概念を学習していく過程こそが、発展に繋がると考えています」
かつてサラリーマン時代、顧客との関係において自身の存在意義を大きく揺さぶられる出来事があった。退職時、ある日本省庁の担当者から「あなたほどの方が辞めてしまうなんて」と言葉をかけられた際、それまで低かった自己評価が覆り、自身の活動が誰かの琴線に触れていたことを実感したという。この経験は、現在の意思決定や活動の支えの一つとなっている。
日本経済が直面する「二つの崖」と向き合うプロダクト

現在、RE-Xは竹内氏による一人体制だが、その事業規模は個人事業の枠を超えようとしている。主力サービスであるITコンサルティングでは、大規模システムに特化した最先端の知見を提供しているが、その裏で着実に育てているのがAIを組み込んだ「ソフトウェア開発環境」のプロダクトだ。
竹内氏はこのプロダクトを通じて、日本が直面している二つの巨大な社会課題の解決を目指している。
第一に、「デジタル赤字」の解消だ。現在、多くの企業が海外のテックジャイアントに膨大な手数料やOS利用料を支払っている。竹内氏はOSSを活用することでこれらへの依存を減らし、海外に流出している資金を国内で還流させるモデルを提唱する。
第二に、「労働人口の減少」への対応だ。「このままでは日本は転落する。それは間違いなく崖です」と竹内氏は警鐘を鳴らす。AIを活用した開発効率化によって、現場を楽にするだけでなく、次世代の若者たちが「日本でもこんなことができるんだ」と誇りを持てるような、仕事のやり方そのものを変革しようとしている。
竹内氏:「頑張りすぎて疲弊するのではなく、AIなどのツールを使ってやるべきことに集中できる環境を作る。それが今の日本には必要です」
自らが納得できる形を探し続ける挑戦
今後の展望として、竹内氏はプロダクトの本格展開に向けた資金調達に注力している。ピッチイベント等への参加を通じて自社の価値を社会に問い、人を巻き込める体制を構築しようとしている。
また、組織づくりにおいてもスペシャリストとしての自身の考えを押し付けるのではなく、それぞれが未来を描けるような「調和」の形を模索している。
最後に、起業を志す若い世代に向けて、竹内氏は自身の経験を重ねアドバイスした。
竹内氏:「誰かに引かれたレールの上を走るのではなく、自分で考え、自分で納得する形で起業することが一番大事。無駄にチャレンジし失敗を微調整しながら、自分自身で未来を勝ち取ってほしい」
孤独な「一人親方」から、日本経済の構造的課題に向き合うプロダクトベンチャーへ。竹内氏の挑戦は、まだ始まったばかりだ。
記事要約
- 創業の背景と想い:代表の竹内氏は、大企業特有の非効率な「人海戦術」や「大企業病」に強い違和感を抱き、テクノロジー(特にオープンソース)の力を活用して世の中を良くしたいという想いから起業。技術者としてのプライドと、世界基準のソフトウェア開発への憧れが原動力となっている。
- 経営のスタンス:「やらなくていいことはやらない」という合理的な怠惰さと、哲学的な「調和」の精神を重んじる。会社員時代に顧客から受けた高い評価が自己認識を変える転機となり、現在の事業継続の支えとなっている。
- 事業の強みと社会的意義:大規模システム開発に特化したITコンサルティングを主軸としつつ、裏側ではAIを組み込んだ開発効率化プロダクトを開発中。これを通じて、海外への資金流出(デジタル赤字)の解消と、労働人口減少に伴う生産性向上の二つの社会課題解決に挑んでいる。
- 今後の展望:プロダクトの社会実装に向けた資金調達と、自身の専門性を活かしつつ他者と調和できる組織づくりを目指している。若い世代には「自分で考え、納得できる道を切り拓くこと」の重要性を説く。
取材企業の概要
- 企業名
- 株式会社RE-X
- 住所
-
〒220-0072
神奈川県横浜市西区浅間町1丁目4番3号 ウィザードビル402
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