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DXが現場で進まない理由とは?――延べ500社を支援した「IT顧問」が語るAI・デジタル活用の実践論
株式会社IT経営ワークス
代表取締役 本間 卓哉様
- 目次
企業のデジタル活用が加速するなか、AIやDXという言葉は多くの企業にとって身近なものになった。一方で、ツールを導入しても使いこなせず、業務改善や売上向上といった成果につなげられていない企業は少なくない。
こうした「人とテクノロジーのギャップ」に向き合い続けてきたのが、株式会社IT経営ワークスだ。同社は15年目を迎え、これまでに延べ500社近い企業のデジタル活用を支援してきた。掲げる理念は、「人×IT=笑顔に」。テクノロジーを単なる導入で終わらせず、企業の現場に根づかせる伴走型支援を続ける代表取締役・本間 卓哉氏に、創業の背景や事業の強み、今後の展望について聞いた。
テクノロジーと人間の乖離を埋める
本間氏が株式会社IT経営ワークスを立ち上げたのは、今から約15年前のことだ。当時は現在のように「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉は一般的ではなく、ようやく「クラウド」という概念がビジネスシーンに浸透し始めた黎明期であった。
長年IT業界に身を置いてきた本間氏は、目覚ましいスピードで進化を遂げるテクノロジーを間近で見てきた。しかし、同時にある一つの強い違和感を抱くようになる。
「テクノロジーはどんどん発展していくけれど、使いこなす人間自身がそこに追いつかない。そのギャップを強く感じていた」と本間氏は振り返る。最新のツールが登場しても、それを活用してビジネスをより良くできる層は、ほんの一部に限られている。この現状を打破し、テクノロジーとそれを使うビジネスユーザーの間に横たわる溝を埋めることこそが、自身の使命であると確信したのである。
掲げた理念は「人×IT=笑顔に」である。ITを単なる効率化の手段として捉えるのではなく、人とITを掛け合わせることで、働く人が笑顔になれる職場環境やビジネス環境をつくっていく。この想いが、同社の事業の根幹にある。
「IT顧問」という概念なき時代への挑戦
創業当時、本間氏が直面したのは、提供しようとするサービスの価値を周囲に理解してもらえないという大きな壁であった。
当時は「IT活用支援」という言葉に具体的なサービス名が確立されておらず、顕在化した市場も存在しなかった。ITコンサルタントを名乗る人物はいたものの、その質は玉石混交であり、本間氏が目指す「伴走型」の支援とは乖離があったという。
そこで同社は「IT顧問サービス」という独自の立ち位置を打ち出す。企業のITに関する外部顧問として組織に入り込み、中長期的な視点でデジタル活用を支えるスタイルだ。しかし、この概念を理解できる経営者は、当時はまだ少数派であった。
「クラウド活用とは何かというところから説き、デジタル活用の必要性を唱えていった」と語るように、一つひとつの企業に対して、単なるツール導入で終わらない本質的な業務改善を地道に提案し続けた。潜在的な課題を抱えながらも、どう動くべきか分からずにいた企業に対し、クラウドを活用した生産性の向上や業務効率化の青写真を示していくことで、徐々に顧客を開拓していったのである。
トレンドに惑わされない「本質」の伴走支援
創業から15年が経過し、社会情勢は一変した。コロナ禍を経てDXという言葉が定着し、現在はAI活用が企業にとっての喫緊の課題となっている。
本間氏:「かつてはクラウド、次はビッグデータ、そしてDX、今はAI。トレンドのキーワードは目まぐるしく変わるが、実は中身はあまり変わっていない」
時代の変遷とともに、かつては潜在的だった企業の課題は顕在化し、相談のハードルは下がった。しかし、本質的な「難しさ」は今も変わらないという。こうした状況は、日本企業全体が直面している「デジタル活用の実装段階」という課題を象徴しているとも言える。
また、現在注力しているAI活用支援においても、単にツールを紹介するのではなく、「個人としてどう使うか」と「組織としてどう使うか」を分けて整理しながら支援しているという。AIへの関心が高まる一方で、「何ができるのかは分かるが、自社業務にどう落とし込めばよいか分からない」という企業は多い。そうした段階から可視化し、実装へつなげていくのが同社の役割だ。
同社の最大の強みは、15年間で培った延べ500社に及ぶ支援実績と、徹底した「伴走型」の姿勢である。最新のAI活用支援においても、表面的なツールの導入だけでは企業は変わらない。本間氏は、企業の内部に深く入り込み、寄り添い、共に汗をかくことでしか変革は成し遂げられないと断言する。「入れば必ず何かしらを変えられる」という自信は、この泥臭くも誠実な伴走の積み重ねから生まれている。
また、同社の支援領域はバックオフィスの効率化に留まらない。デジタルマーケティングを駆使した新規リード獲得から、顧客管理、契約に至るまでの仕組み作りも得意とする。「インターネットで顧客を獲得できるという実体験をしていただく。それが老舗企業などの大きな喜びにつながる」と語る通り、ITの力で企業の売上に直結する支援を行っている点も特徴だ。
「ツールが悪いのではない」 成功を左右する定義と目的
IT導入に失敗する企業の多くに見られるパターンとして、本間氏は「目的なきツール導入」を挙げる。例えば、高機能な顧客管理システムを勢いで導入したものの、活用できずに解約してしまうケースだ。
本間氏は「ツールが悪いのではなく、使う側の視点や目的、どう使うかという定義がないまま導入してしまうからうまくいかない」と指摘する。同社は、まずそのツールを使って何を実現したいのかという目的を明確にし、運用体制までを含めた設計を行う。
場合によっては、既存のクラウドサービス(SaaS)をそのまま使うよりも、自社の業務に合わせてシステムを構築した方が良いケースもある。そのような要望に応えるため、同社はグループ内にWeb制作会社や、スクラッチ開発に対応できるシステム開発会社を抱えている。グループ全体のシナジーを活かし、他社ツールの活用支援からオリジナルシステムの開発まで、クライアントの状況に応じた提案ができる体制を整えている。
人材不足をどう乗り越えるか「チーム型IT顧問」という構想
企業のDX需要が急増し、特にAI活用のニーズが高まる中、本間氏は現在の課題として「リソースの確保」を挙げる。
IT顧問というサービスは、高い専門性とコミュニケーション能力が求められるため、どうしても属人的になりやすい側面がある。需要に対して供給が追いつかない状況を打破するため、本間氏が構想しているのが「DAO(自律分散型組織)的」な組織運営である。
一人の専門家がすべての責任を負うのではなく、プロジェクトごとに最適なスキルを持つプロフェッショナルたちがチームを組み、顧問先を支援する。特定の個人に依存しないチーム体制を構築し、プロフェッショナル同士が自律的に動く組織を広げていくことが、今後の成長の鍵となると見ている。
また、本間氏自身は現在、IT経営ワークスを含め、制作会社なども含めたグループで約10社の経営に携わっている。本人はこれについて、「DXやAIを徹底的に活用しているからこそ可能になっている面がある」と語る。企業経営においても、デジタル活用を進めることで展開の可能性が広がることを、自らの実践を通じて示していきたい考えだ。
20社のグループ経営を目指して
本間氏に今後の展望を尋ねると、「5年後、10年後は正直見えていない。これだけ変わっていく時代だから」と、変化の激しいIT業界に身を置く経営者らしい答えが返ってきた。
しかし、その根底にある信念は揺るぎない。世の中がどのように変わろうとも、伴走型の支援は必要とされ続ける。行き過ぎた最先端ではなく、常にお客様の「半歩先」を走りながら、キャッチアップし続ける。その愚直な姿勢こそがIT経営ワークスのアイデンティティだ。
具体的な目標としては、現在10社あるグループ会社を20社程度まで増やしていきたいという。現在の「グッドスマイルグループ」という名称は、まだ社内外に浸透しきっていないと自己分析しながらも、グループ各社がシナジーを生み出し、相互に高め合える組織体を目指していく。
最後に、これから起業や挑戦を志す若い世代に向けて、本間氏は次のようなメッセージをくれた。
本間氏:「自分で立ち上げるのも一つの道ですが、なかなか自信が持てず、一歩を踏み出しにくい方もいると思います。私たちのグループでは、多くの会社で共同創業という形をとっています。何か事業をつくりたいという想いがあるなら、グループの中に入って一緒に立ち上げ、マネタイズしていくという形もできます。相談があれば、ぜひ声をかけてほしいです」
DXやAIという言葉が広がる一方で、それを企業の現場に根付かせる役割を担う存在はまだ多くない。IT経営ワークスの取り組みは、そのギャップを埋める実践例の一つと言えるだろう。かつて「クラウド活用とは何か」を一社一社に説明しながら顧客を開拓してきた創業期を経て、いま本間氏はAIも活用しながらグループ経営を進めている。その眼差しは、常に「人とITが笑顔で交わる未来」を見据えている。
※日本企業のDX着手状況と課題
DXを進める上での課題として、日本企業の約半数が「人材不足」を挙げており、次いで「具体的な導入効果が見えない」「手法が分からない」といった回答が目立つ。
総務省|令和5年版 情報通信白書
※中小企業のIT導入と生産性
IT投資を行っている企業ほど労働生産性が高い傾向にあることが示されている一方で、IT活用の目的が「コスト削減」に偏り、「売上拡大」への活用が進んでいない現状も報告されている。
中小企業庁|2025年版 中小企業白書
※生成AI活用の動向
生成AIの登場によりビジネスプロセスが劇的に変化する可能性が示唆されているが、適切なガイドラインや活用戦略を持つ企業の割合はまだ途上段階にある。
経済産業省|「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024」
記事要約
- 創業の理念と背景:ITの進化とそれを使う人間のギャップを埋めるため、「人×IT=笑顔に」を理念に創業。現在15年目を迎え、DXやAI活用支援の先駆者として活動。
- 伴走型支援のこだわり:単なるツール導入ではなく、企業の内部に入り込み中長期的に支援する「IT顧問サービス」を展開。延べ500社近い支援実績を持つ。
- 売上に直結するデジタル活用:バックオフィス効率化だけでなく、デジタルマーケティングによる新規開拓支援も実施。老舗企業の新規受注創出などに貢献。
- 失敗しないIT導入の提案:ツールの導入目的を明確に定義し、活用方法を可視化。必要に応じてグループ内の開発会社によるスクラッチ開発も提案可能。
- 独自の組織運営と多角化:プロフェッショナルがチームで動く「DAO的組織」を志向。本間氏自身もDX/AIを駆使してグループ10社を経営。
- 未来への挑戦:5〜10年後にはグループを20社まで拡大することを目指す。次世代の起業家との共同創業にも積極的な姿勢を示す。
取材企業の概要
- 企業名
- 株式会社IT経営ワークス
- 本社住所
-
〒107-0062
東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山942
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