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注目企業特集

未経験層を「戦力」へ変える教育の力。ジェイックが挑む、中小企業と若者を結ぶ採用パラダイムの転換

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株式会社ジェイック

取締役 近藤 浩充様

目次

労働力不足が深刻な社会課題となる中、採用市場は空前の「若手争奪戦」の様相を呈している。特にリソースの限られた中堅・中小企業にとって、優秀な人材の確保と育成は死活問題だ。こうした中、教育を主軸に置いた独自の採用支援で、全国の大手・中堅中小企業 108,657社(同社公表、2025年5月末時点)と接点を持つ企業がある。東証グロース市場上場の株式会社ジェイックだ。

同社が掲げるミッションは、関わる組織やビジネスパーソンの「可能性を羽ばたかせる」こと。単なるマッチングにとどまらない、教育融合型の人材紹介モデルはいかにして生まれたのか。取締役の近藤氏へのインタビューを通じ、リーマンショックという荒波を乗り越え、現代のマネジメントのあり方を問い直す同社の「想い」と「挑戦」の軌跡を追った。

顧客の「困りごと」から生まれた、教育と紹介の融合

ジェイックは、もともとは別事業を行っていた1991年創業のユーティーサービス株式会社(旧社名)を、現在の代表が引き継ぐ形でスタートした。代表は以前より中小企業支援に携わり、その中で培ってきた「社員教育の知見」を活かして、事業の軸を「社員教育」へと移していった。

新入社員から経営層までを対象とした研修事業でスタートした同社だが、初期の顧客層であった中堅・中小企業には共通の悩みがあった。それは、人事専任の部署がなく、経営者が人事・採用を兼務しているという現実だ。

「教育のお手伝いをしている中で、『誰かいい人はいないか』という採用に関する相談を日常的に受けるようになったのが、人材紹介事業を始めたきっかけでした」と近藤氏は振り返る。

同社の人材紹介は、一般的なサービスとは一線を画す。メインターゲットを20代、特に正社員経験のない既卒・第二新卒・フリーター層にしている点だ。通常、新卒でもない未経験者の採用に企業は二の足を踏みがちだ。ビジネスマナーすらおぼつかず、教育コストがかかる若手未経験者の採用に、慎重になる企業も多い。

そこでジェイックは、自社の強みである教育機能を活用した。希望する若者に対し、1週間にわたるビジネスマナーやコミュニケーションの研修を無料で実施。その全課程をやり遂げた人材のみを企業に紹介するという、「教育」と「紹介」を融合させた独自のビジネスモデルを確立したのである。

信用ゼロからの出発と「小冊子・映像」による施策

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今でこそ上場企業として高い信頼を得ている同社だが、創業当時は知名度の低さに苦しんだ。特に教育研修という「形のないサービス」において、実績のない会社が選ばれるハードルは極めて高い。

近藤氏:「研修は見ず知らずの会社に頼むのが怖いものです。信用がすべてという世界で、いかにして体験してもらうかに知恵を絞りました」

当初、講師を派遣するインハウス型の研修を提案しても、「そこまで人数がいない」と断られることが多かった。そこで同社は、自社で会場を借りて1名単位から参加できる「セミナースタイル」をいち早く導入。さらに、研修までは手が出せない企業向けに、社長の想いを代弁する小冊子を制作・販売したり、映像教材をCDやDVDに焼いて届けたりと、顧客が手に取りやすい形でのアウトプットを模索し続けた。

こうした地道な工夫と、名著『7つの習慣』といった世界的なコンテンツに基づく質の高い研修プログラムが、徐々に経営層の心を掴んでいくこととなった。

リーマンショックという試練と「ガイアの夜明け」での脚光

ジェイックの歴史において、大きな転換点となったのは2008年のリーマンショックだ。世界的な金融危機により、日本でも「内定切り」や「雇い止め」が相次ぎ、深刻な就職氷河期が訪れた。

近藤氏:「我々自身も苦境に立たされていました。顧客が研修を控え、採用もストップする。そんな状況下でしたが、行き場を失った若者たちを積極的に受け入れ、教育して紹介するというサービスを必死に展開したのです」

この「就職困難な若者を救う」という社会性の高い取り組みは、テレビ番組『ガイアの夜明け』をはじめとする多くのメディアで特集され、大きな注目を浴びた。しかし、脚光を浴びる裏側で、組織の内側は疲弊していた。業績の悪化に伴い、将来を共に歩むはずだった幹部たちが、部下を引き連れて去っていくという痛恨の事態に見舞われたのだ。「こういう時にいなくなってしまうのか、と当時は強い衝撃を受けました」と近藤氏は当時の心中を明かす。

だが、この危機がジェイックの「根っこ」を強くした。逆境だからこそ、自社の存在意義を再確認し、社内に『7つの習慣』を浸透させ、真に価値ある事業を提供できる組織文化を一から構築し直す機会となったのである。

「挫折経験」という武器とパラダイムの転換

ジェイックが紹介する人材は、大学中退者や夢破れた芸人・アスリート、就活に失敗したフリーターなど、世間一般では「レールから外れた」と見なされがちな若者たちだ。企業側には「中退者は適応力がない」「フリーターは責任感がない」といった強い固定観念(パラダイム)が存在する。

近藤氏はこのレッテルに対してもどかしさを感じつつも、彼らの真の価値をこう語る。

近藤氏:「彼らには共通して『挫折経験』があります。ストレートに歩めなかったからこそ、拾ってくれた会社に恩返ししたい、遅れを取り戻したいという熱意が凄まじい。新卒採用を辞めて、我々の紹介する若手だけに絞るという企業も多くあります」

同社の研修は、単なる知識のインプットではない。実際にコミュニケーションを「経験・体験」することで、自分自身の行動や他者への接し方を変容させる。ハラスメントを繰り返していた管理職が、研修を経て部下から「人が変わった」と驚かれるほどの変化を遂げるケースも珍しくないという。

「優しい会社」から「優しく強い会社」へ

2019年には東証マザーズ(現・グロース市場)上場を果たした同社だが、近藤氏は現在の組織に対し、一歩踏み込んだ課題感を持っている。

近藤氏:「ジェイックは、人が人を応援し合う、非常に良い会社です。ただ、今のままでは『優しいけれど、強くはない』。周囲の空気を読みすぎてしまい、高い目標に向かって邁進する力が不足している部分があります」

少子高齢化が進み、人材の獲得競争は激化の一途をたどる。その中で、同社が提供する『7つの習慣』や『人を動かす』といった普遍的なヒューマンスキルの価値をより広く届けるためには、自社自体のブランディングをさらに強化し、「もう一段上のコミュニケーション」を目指す必要があると考えている。

答えのない時代に求められる、新しいマネジメントの形

インタビューの最後に、近藤氏はこれからの日本を支えるリーダーやビジネスパーソンへ向けて、熱いメッセージを送った。

近藤氏:「昭和・平成のマネジメントは、答えを知っているリーダーが強く引っ張る形でした。しかし、正解のない現代においては、管理職の役割は『メンバーが力を発揮できるようサポートすること』に変貌しています」

かつての固定観念を捨て、上下関係のあり方やコミュニケーションの取り方をアップデートできるか。そこが日本企業の未来を分ける分水嶺となるだろう。

近藤氏:「マネジメントの新しいあり方を通じて、強い日本の組織を作っていきたい」

若者の可能性を信じ、教育によってその翼を羽ばたかせるジェイックの挑戦は、組織と個人のあり方が再定義されるこれからの時代において、ますますその重要性を増していくに違いない。


※ 人手不足や人材育成など人材が大きな経営課題になっている可能性
出典元:中小企業庁「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」

※ 若年層の雇用形態と未就職者の推移
フリーターを含む「若年非正規雇用労働者」の数は高止まりしており、正社員移行への支援が喫緊の課題とされている。
出典元:厚生労働省「若年者雇用対策の現状について」

記事要約

  • 教育を核とした独自の紹介モデル:創業時の社員教育事業をベースに、既卒・フリーター向けに無料研修を実施してから企業へ紹介する「教育融合型人材紹介」を確立した。
  • 逆境からの組織変革::リーマンショックによる業績悪化と幹部の離反を経験。それを機に『7つの習慣』などの教育コンテンツを自社に深く浸透させ、組織の土台を再構築した。
  • 挫折を強みに変える支援:大学中退者や既卒者などが抱える「挫折経験」を、仕事への熱意や恩返しの気持ちへと転換させる教育を行い、企業の採用パラダイムを打破している。
  • 次世代マネジメントの提唱::従来の指示命令型から、メンバーの潜在能力を引き出す「サポート型」のリーダーシップへの転換を、自社および顧客企業へ広めている。

取材企業の概要

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企業名
株式会社ジェイック
本社
〒101-0051
東京都千代田区神田神保町1-101 神保町101ビル7F

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