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注目企業特集

管理職教育・若手育成の課題をどう解くか。HRパートナーズに学ぶ「伴走型」人材開発とは

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株式会社HRパートナーズ

代表取締役社長 山田直人様

目次

企業の競争力の源泉は「人」にある。しかし、労働人口の減少や働き方の多様化が進む現代、組織の要となる管理職の育成や、次代を担う若手社員の定着に頭を悩ませる経営者は少なくない。こうした組織課題に対し、単なる「理想論」に留まらず、顧客と伴走しながら実効性の高いソリューションを提供する企業がある。2022年に設立された株式会社HRパートナーズだ。

同社の代表取締役である山田直人氏は、長年人材業界に身を置き、研修プログラム開発や講師経験を重ねてきた人物である。自らがトップとして組織を率いる道を選んだ背景には、顧客に伝えていることを自社で実践しきれない現実への葛藤と、それを打破しようとする強い信念があった。同社が掲げる「顧客のパートナー」としての在り方、そして「従業員の喜び」を起点とする独自の経営哲学に迫る。

「紺屋の白袴」を脱ぎ捨てる――創業に込められた「誠実さ」への決意

山田氏が株式会社HRパートナーズを設立したのは2022年3月のことである。新卒から一貫して人材業界に携わり、2社での経験を経て独立に至った。長年のキャリアの中で、山田氏は常に一つの違和感を抱いていた。それは、人材サービスを提供する側が、自社内において必ずしも「理想の組織」を体現できていないという現実であった。

人材系企業は顧客に対し、「人材の育成が重要である」「上司と部下の信頼関係が不可欠だ」と説く。顧客はそのメッセージに共感し、サービスを導入する。しかし、提供側の社内に目を向けると、必ずしもその教えが実践されているわけではない。山田氏はこの状況を、染物屋が自分の袴は染めずに白いままでいることを指す「紺屋の白袴」という言葉で表現する。

山田氏:「お客様に言っていることと、自分たちがやっていることが結びつかない場面が多々ありました。極端に言えば、それは『嘘』になってしまうのではないか。講師が理想論を語っているだけだと思われてしまうのは、そこに原因があるのではないかと考えたのです」

研修で受講者に伝えるべき価値観を、まずは自分たちが高いレベルで実践する。その実感を伴った経験を顧客に還元する。この「有言実行」を組織の根幹に据えるためには、自らが経営のトップとして意思決定を行う必要があった。株主や上層部の意向に左右されることなく、純粋に「正しいと思う組織運営」を追求する。それが、HRパートナーズという組織の出発点となった。

管理職と若手層に横たわる「役割転換」の壁

現在、同社が主力として展開しているのは、企業向けにカスタマイズされた研修サービスを中心とする人材開発・組織開発支援である。主なクライアントは企業の人事部門や教育担当者だが、山田氏はそのビジネスモデルを「BtoBでありながら、最終的な顧客満足度は『個人』に依存する」と定義している。受講する社員一人ひとりが「ためになった」「明日から活かせそうだ」と実感できなければ、継続的な受注には繋がらない。

同社に寄せられる相談の多くは、「管理職教育」と「新人・若手社員の育成」に集約される。

特に管理職層については、プレイヤーからマネージャーへの「役割転換」が最大の課題となっている。個人として成果を出すことに注力してきた優秀なプレイヤーほど、部下を通じて組織の成果を上げるという新しい役割に戸惑い、従来の仕事の進め方から脱却できないケースが多い。

山田氏:「マネージャーとしてのマインドセットを自分一人で変えるのは非常に難しい。だからこそ、外部からの支援が必要なのです。また、最近では『管理職になってからでは遅い』という危機感を持つ企業も増えており、昇進前のリーダークラスに対するマネジメント教育の需要が非常に高まっています」

一方、若手層においては、採用難を背景とした「定着と早期戦力化」が急務となっている。しかし、現場の管理職は多忙を極め、行き過ぎた指導がパワハラと捉えられることを恐れるあまり、適切な教育ができないというジレンマを抱えている。同社はこうした課題に対し、上司側の指導スキル向上だけでなく、若手本人たちの仕事に対するマインドセットを同時に醸成することで、組織全体の育成力を底上げしていくアプローチを採る。

非効率を厭わない「現場主義」が育む信頼

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HRパートナーズの経営判断において、最も重視されている軸の一つが「お客様のパートナーであること」だ。これは単なるスローガンではない。同社のサービスは、顧客が抱える「正解は分かっているが、現実的にできない理由」にまで深く踏み込む。

山田氏:「理想論を語るのは容易ですが、お客様にはそれぞれの現実があります。どこまでなら実行可能なのかを共に考え、できない部分をどうサポートするか。短期的な利益を追うよりも、長い目でのパートナーシップを重視し、時には効率が悪くても踏み込んだ支援を選択します」

その最たる例が、営業担当者の「研修全立ち会い」という方針である。一般的な研修会社では、営業が受注した後は講師に任せきりにし、当日は不在にする、あるいは冒頭の挨拶だけで済ませることが多い。営業効率を優先すれば、その時間に次のアポイントを入れるのが「正解」とされるからだ。

しかし、HRパートナーズでは、営業担当者が研修の最初から最後まで同席することを基本としている。

山田氏:「受講者がどう反応し、現場で何が起きているのか。お客様や講師と同じ景色を見なければ、本当の意味で価値が届いたかを確認できず、次なる課題も見つかりません。何より、自分が手掛けた仕事の結末を見届けられないのは、仕事として面白くない。非効率かもしれませんが、研修実施の現場を見ることで得られる気づきや、お客様との深いリレーションこそが、次の営業やサービスの質に直結するのです」

「弱さを開示できる誠実さ」が組織を強くする

同社は現在5名の少数精鋭組織だが、今後の事業拡大を見据え、採用には独自の基準を設けている。山田氏がスキル以上に重視するのは「誠実さ」だ。

ここで言う誠実さとは、単に嘘を吐かないことだけを指すのではない。「自分の弱さや不得意をオープンにし、認められるかどうか」という、自己開示の姿勢を意味する。

山田氏:「不完全な自分を認められない人は、他人に助けを求めることができません。自分の苦手なことを正直に伝えられるからこそ、周囲は協力を申し出ることができます。面接で『苦手なことは特にありません』と答える方は、残念ながら不合格にしています。人間である以上、必ず弱みはある。それを認め、補い合う組織でありたいのです」

同社はあえて経験の浅い若手を積極的に採用し、社内で育成する方針を採っている。自社が研修で提供している「人を育てることの難しさと面白さ」を、自組織の成長過程を通じて体感するためだ。自分たちが人を育てる苦労を味わっているからこそ、同じ悩みを抱える顧客の痛みに寄り添うことができる。これこそが、山田氏の掲げる「高度な実践」の体現に他ならない。

パートナーシップの拡大と「クオリティ」の維持

設立5期目を迎えたHRパートナーズは、今、新たなフェーズへと向かっている。山田氏によれば、今期のキックオフミーティングでも、他社との連携強化が戦略として共有されたという。これまでは主に自社でサービス提供を行ってきたが、顧客からの相談内容が多様化・高度化する中で、他社との提携や連携を強化する方針を打ち出した。

山田氏:「自社だけで全てを完結させるのではなく、特定の領域に強みを持つパートナー企業と協力し、お客様にとって最適なソリューションを提供できる体制を整えていきたい。5期目の戦略として、提携の強化を掲げています」

10年後には数十人規模の組織に成長させることを目標としているが、山田氏にとっての真の挑戦は、規模の拡大そのものではない。

山田氏:「どれほどの規模になっても、私たちが大切にしている『誠実さ』や『現場主義』、そして『顧客の痛みに寄り添う姿勢』というクオリティを維持し続けられるか。数字は後から付いてくるものと信じ、自分たちが誇りを持って働き続けられる組織のまま、より多くのお客様に価値を届けていきたい」

顧客と共に悩み、共にプログラムを作り上げ、時には共に祝杯を挙げる。HRパートナーズが提供しているのは、単なる「研修」というパッケージではない。組織が変わろうとするプロセスにおける「伴走者」としての価値そのものなのだ。


※ 管理職の役割転換と課題
管理職の負担増や役割の変化、およびそれに対する教育訓練の重要性が指摘されている。
出典元:厚生労働省「労働経済の分析」(令和5年版)

※ 若手社員の定着と教育
新規学卒就職者の離職状況(3年以内離職率)は例年高い水準にあり、企業における定着支援やマインドセット教育が喫緊の課題となっていることが公的データより示されている。
出典元:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」

記事要約

  • 創業の経緯:代表の山田氏は人材業界で長く活動する中で、業界全体の「言行不一致」に疑問を感じ、自社で教える内容を自ら高度に実践する組織を作るべく、2022年に独立・創業した。
  • 主力サービス:管理職教育および若手層の育成研修を提供。特にプレイヤーからマネージャーへの役割転換の支援や、次世代リーダー向けの早期教育に強みを持つ。
  • 独自のこだわり:効率性よりも「現場主義」を優先し、営業担当者が研修全行程に立ち会う。顧客と同じ景色を見ることで、真の課題抽出と深い信頼関係の構築を図っている。
  • 採用と組織観:弱さを開示できる「誠実さ」を最重視。若手を自社で育成するプロセスそのものを、顧客への提供価値の源泉としている。
  • 今後の展望:5期目を迎え、他社とのパートナーシップを強化。クオリティを維持しながら規模を拡大し、自社の理念をどこまで広げられるかに挑戦している。

取材企業の概要

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企業名
株式会社HRパートナーズ
住所
〒340-0015
埼玉県草加市高砂2-4-21-1104

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