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「自己肯定感の向上」を事業の核に。無人古着屋でリユース業界に革命を起こす株式会社UPBEAR中谷駿志氏の挑戦
株式会社UPBEAR
代表取締役 中谷 駿志様
- 目次
現代社会において「自己肯定感」は、個人が豊かに生きるための重要な指標となっている。その向上を事業の真ん中に据え、アパレルから美容サロン、婚活事業までを一気通貫で展開するのが株式会社UPBEAR(アップベア)である。特に、同社が推進する「無人古着屋」のフランチャイズ(FC)展開は、これまでのリユース業界の常識を覆す圧倒的なビジネスモデルとして注目を集めている。
同社は2020年にアパレル事業を開始し、2022年11月に法人化。現在は無人店舗ビジネスのFC展開に注力している。「外見向上から日々の自己肯定感を上げ、幸せの幸福の連鎖を社会に届けたい」と語る代表取締役の中谷駿志氏に、創業の原点から今後の野心的なビジョンまでを詳しく聞いた。
アパレルと美容の融合から始まった「トータルプロデュース」への原体験
中谷氏のキャリアはアパレル業界から始まった。長年現場で顧客と向き合う中で、一つの確信を抱くようになったという。「服だけを買ってかっこよくなっても、それだけでは足りない」という違和感である。
中谷氏:「美容とか含めてトータル的にお客様の外見向上のところをサポートできたらなというところで、アパレルショップと脱毛サロンの2店舗で開業が始まったっていうところです」
この異色の組み合わせが、同社の強みである「一気通貫のサービス」の原点となった。外見を磨き、自分に自信を持つ。その結果として、婚活や恋愛といったライフイベントに前向きに取り組めるようになる。同社の婚活事業は、実際に現場で顧客の悩みを聞いていたスタッフの声から生まれたものだという。
単なる「モノの販売」や「施術の提供」に留まらず、その先にある「人生の質の向上」を見据える。この視点こそが、同社の事業の根幹に流れる「想い」である。
「自分たちがやる価値」を問い続ける経営判断と組織の在り方
起業当初、アパレル店舗の独立運営や未経験の美容サロン運営には、中谷氏自身も大きな不安を感じていた。しかし、その葛藤を乗り越え、現在は大阪・大国町を拠点にカフェ事業なども含む多角的な経営を実現している。
経営判断において中谷氏が最も重視するのは、「自分たちがそのサービスをやる価値があるか」という点である。
中谷氏:「誰でも届けられるサービスやったら自分たちがやる意味がないと思ってます。しっかりそこの付加価値をつけて、ブラッシュアップすることによってプラスを出せるのか。それを考えてから意思決定しています」
この信念は組織作りにも反映されている。同社は現在、業務委託を含め約13名のチームで運営されているが、中谷氏が理想とするのは「自走する組織」である。一人ひとりが他責ではなく自律的に行動し、顧客に最高の結果を届けるマインドセットを重視し、定期的な1対1の面談や研修を通じてコミュニケーションを深めている。
「無人古着屋」がリユース業界に革命を起こす3つの理由

現在、同社が最も注力しているのが「無人古着屋」の全国展開である。世の中に無人店舗が増える中、同社のモデルが際立っているのは、徹底した「差別化」と「高利益構造」にある。
1. 清潔感と価値ある商品の提供
従来の無人古着屋に対して「汚くて臭い」といったイメージを持つ消費者も少なくないが、UPBEARは「綺麗で清潔感があり、価値のあるもの」に特化して商品を提供している。
2. 圧倒的なコストパフォーマンス
人件費を徹底的にカットすることで、他店で3〜4万円するようなバーバリーのコートなどを、1.5万円〜2.2万円といった手頃な価格で提供することを可能にした。顧客にとっては「良いものを安く買える」という明確なバリューがある。
3. オーナーの利益を最優先するFCモデル
ビジネス面でも、他社FCより良い掛け率や条件を提示するなど、利益が出やすい仕組みを構築している。年間利回りは30〜50%を想定しており、回収期間は1.5年〜3年という驚異的な数値を掲げている。
さらに特筆すべきは、無人店舗ゆえの懸念点である「盗難」への対応だ。中谷氏は、盗難が起きた際の損害を本部が補填する方針で運用するなど、極めて異例のサポート体制を敷いている。これは、同社が圧倒的な商品調達能力と在庫を保有しているからこそ成せる業である。
中谷氏:「盗難の心配は、オーナー様が一番されるところです。そこに対してのケアは十分させていただきますよという形は取っています」
また、中谷氏が描くFCの姿は、単なる画一的なチェーン展開ではない。無人古着屋という枠組みを超え、店舗ごとの「色」を出すことを推奨している。
中谷氏:「地域に根付いた商品を置いていただいたりとか。あと無人なので、場所を貸してそこでイベントしたり、地域の人が集まってポップアップしたり。洋服屋という垣根を超えて、地域に根付いた場所として活用していただくのは全然アリだと思ってます」
オーナーの裁量を認め、その街に必要とされる店舗へとカスタマイズしていく。FCでありながら“画一化しない”という思想が、同社の全国展開を支える大きな原動力になっている。この柔軟性こそが、加盟店にとっても利用者にとっても「通いたくなる店」を作る鍵となっている。
2030年に200店舗。その先にある「特別な一日」の創出
中谷氏は、2027年までに業界ナンバーワンの店舗数(50店舗規模)を目指し、2030年には全国200店舗まで拡大させるというビジョンを描いている。しかし、その拡大はあくまで手段に過ぎない。
中谷氏:「自分が事業をやってるから、お客様の特別な1日、記憶に残るような1日を作れた、みたいな事業がしたい」
その想いは、ホテル内でのバー運営や、より質の高い対面型のアパレルショップなど、体験価値に重きを置いた新規事業への構想にも繋がっている。
起業を志す人々に対し、中谷氏は「お客様や社会のためになるか」という視点の重要性を説く。自分自身の欲求ではなく、他者の幸福を起点にすること。その実直な姿勢こそが、ピンチをチャンスに変え、会社を成長させてきた原動力である。
外見を磨くことで内面を変え、社会に「幸せの連鎖」を巻き起こす。株式会社UPBEARの挑戦は、まだ始まったばかりである。
記事要約
- 事業の核心:外見向上を通じて自己肯定感を高め、「幸せの幸福の連鎖」を社会に届けることをミッションとする。
- 一気通貫の展開:アパレルから美容サロン、婚活、飲食まで、顧客の人生をトータルでプロデュースする多角経営を実施。
- 無人古着屋の強み:清潔感のある高価値商品の提供と、人件費削減による圧倒的なコストパフォーマンスを両立。
- FCビジネスの革新性:業界屈指の低掛け率と、盗難時にも本部がサポートする運用体制により、オーナーの利益と安心を最大化。
- 将来ビジョン:2030年までに全国200店舗を目指しつつ、顧客の記憶に残る「特別な体験」を提供できる企業への進化を志向。
取材企業の概要
- 企業名
- 株式会社UPBEAR
- 住所
-
〒556-0015
大阪府大阪市浪速区敷津西1-1-16 1F
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