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注目企業特集

「フィットネス鎖国」をAIで打破。アジア発の黒船DRAX JAPAN・花生浩介が描く、日本経済を支える健康のDX

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DRAX JAPAN株式会社

代表取締役 花生浩介様

目次

日本のフィットネス業界がいま、大きな転換期を迎えている。長らく欧米ブランドが席巻してきたこの市場で、韓国発の圧倒的ナンバーワンメーカー「DRAX」の日本法人、DRAX JAPAN株式会社が急成長を遂げている。

同社を率いる代表の花生浩介氏は、1978年から続く老舗企業の系譜を受け継ぎながらも、2021年に「第2の創業」としてDRAX JAPANを設立した。ターゲットは、これまでニッチだったアスリート向け市場から、ボリュームゾーンである「コマーシャルフィットネス」へ。その戦略の裏側にあるのは、AIによるパーソナライズ化と、日本経済の屋台骨を支える「女性とシニア」への深い洞察だ。

「見る前に跳べ」――。激変する業界の最前線で、グローバルトップ3を目指す花生氏の思想と、同社が描く日本の未来像に迫る。

老舗の看板を背負い、コマーシャル市場へ討って出る

DRAX JAPANの歩みを紐解くには、その母体である「フィットネスアポロ社」の存在を欠かすことはできない。フィットネスアポロ社の創業は1978年。フィットネス黎明期からトレーニング関連事業に携わってきた、業界内では知られた老舗だ。

しかし、2021年。花生氏はあえて「DRAX JAPAN」という新会社を設立し、リスタートを切った。これまでのビジネスモデルは、プロアスリートやハイエンド層をターゲットとした、いわば「尖った」ニッチな領域だった。性能重視で価格は二の次。そんな世界で確固たる地位を築いてきたが、昨今の空前のトレーニングブームを背景に、花生氏はさらなる事業拡大の好機を見出した。

「マーケット規模として限界があるスペースから、より多くの人が利用するコマーシャルフィットネス(一般向けジム市場)に集中して投資展開していこうと決めた。それが第2の創業の心です」と花生氏は語る。

この「DRAX」という名称は、韓国に拠点を置くトレーニングマシンメーカーのブランド名である。2001年に創業した同社は、現在韓国で圧倒的なシェアを誇るナンバーワンメーカーへと成長を遂げている。彼らが掲げる「世界トップ3」という野望。そのグローバル戦略の第一歩として選ばれたのが、日本市場だった。

「失うものはない」攻めの経営がもたらした躍進

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DRAX JAPANが現在の事業体制へと舵を切る過程は、決して平坦なものではなかった。最大の障壁の一つが、世界を襲ったコロナパンデミックだ。フィットネス業界は、外出自粛や営業制限によって壊滅的な打撃を受けた。

さらに追い打ちをかけたのが、近年の記録的な「円安」である。現在、日本国内でトレーニングマシンを製造しているメーカーはほぼ存在しない。競合他社も含め、業界全体が輸入販売に依存している状態だ。円安はダイレクトに輸入コストの上昇を招き、ビジネスの維持そのものを困難にする。

「コロナからの回復と円安。この二つのハードルは非常に高かった」と花生氏は振り返る。しかし、この逆境こそがDRAX JAPANの牙城を築く契機となった。コロナ禍を経て、日本のフィットネス市場はかつての水準を取り戻しつつあるが、勢力図は激変した。かつてのトップシェア企業が勢いを落とす「戦国時代」が到来したのだ。

花生氏:「我々には失うものがなかった。だからこそ、攻めの一手でやってこれたんです」

その言葉通り、同社調査でコロナ前は業界ランキングで7位から10位程度だった立ち位置は、現在では3番手から4番手にまで急浮上しているという。アスリート向けで培った高い専門性と、韓国本社の圧倒的な開発力を武器に、変化を恐れずマーケットを奪いに行く――。花生氏が大切にしている「見る前に跳べ」という言葉が、そのまま経営の機動力となっている。

「頑張った人勝ち」からの脱却。AIが実現するユーザーフレンドリーな未来

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DRAX JAPANが他社を圧倒する最大の武器は、マシンのハードウェアとしての質だけではない。特筆すべきは、世界最先端を走る「AIとDX」の融合だ。

従来のジムトレーニングは、経験や勘、あるいは「気合」といった属人的な要素に頼る部分が大きかった。しかし、DRAXのマシンは、会員一人ひとりのデータをAIが解析し、パーソナライズされたメニューを自動で生成する。

「ジムに行けば、今日のメニューが個人別に示される。どのマシンで、どれぐらいの負荷を何セットやればいいか、すべて指示が出ます」と花生氏は解説する。驚くべきは、その学習能力だ。トレーニング中に疲労でスピードが落ちれば、AIがそれを感知。「このユーザーには負荷が高すぎる」と判断し、次回のプログラムを自動で修正するのだ。この繊細な調整こそが、継続の鍵となる。

花生氏:「トレーニングは所詮『頑張った人勝ち』という側面がある。それをどうやって、AIの力で続けさせられるモチベーションに変えていくか。ここが今の勝負どころです」

理論が優れているだけでは、人は動かない。いかにユーザー目線で、使い勝手の良い「ユーザーフレンドリー」な体験に落とし込めるか。アジア人特有の体格やトレーニング理論に最適化されたプログラムを開発できるのは、韓国に開発拠点を持つ同社の強みでもある。

「8対2」の壁を壊す。女性とシニアが日本経済を救うという確信

DRAX JAPANが目指すのは、単なるマシンの販売増ではない。花生氏が見据えているのは、日本の「労働人口問題」という壮大な社会課題の解決だ。

「日本の人口は減っているが、実は労働人口は増えている。それを支えているのは、シニアと女性です」と花生氏は指摘する。長く働き続けられる社会を作るためには、この層の健康管理が不可欠になる。しかし、従来のフィットネスジムは、男性がボリュームゾーンであり、男女比は「8対2」や「7対3」といった状況が一般的だった。

この「手つかずのマーケット」に、DRAX JAPANは風穴を開けようとしている。 驚くべきことに、同社が運営に関わるジムでは、女性の比率が55%から60%に達しているという。

花生氏:「女性はエステや美容に投資をされています。その投資先を、健康やトレーニングに向けてもらう。ハードルを低くし、AIによる的確な指導で効果を実感してもらうことで、これまでジムを敬遠していた層を取り込んでいるんです」

本来であれば、高価なパーソナルトレーニングを受けなければ得られない「正しい指導」を、AIによって低コストで提供する。この仕組みが社会に浸透すれば、シニアや女性の健康寿命が延び、結果として日本の国力が維持される――。花生氏が語る「国の経済を活性化するためにフィットネスが必要だ」という言葉には、強い使命感が宿っている。

「フラット」と「機動力」がもたらす圧倒的なスピード感

グローバル展開を加速させる同社の組織は、極めてモダンで合理的だ。日本の伝統的な企業に見られる、重層的な決裁ルートや印鑑文化は一切ない。組織は極限までフラット化されており、働き方はフレックス制を採用。パフォーマンス評価は業績連動という、欧米企業に近いスタイルを徹底している。

「自分の考えがしっかりしていて、想いを現実化できる具体的なアイデアを持っている人にとって、これほど面白い環境はないはず」と花生氏は言う。

採用において重視するのは、スキル以上に「仕事を面白がれるか」という姿勢だ。急成長する市場の中で、自由な裁量を持ち、成果がダイレクトに自身のベネフィットに繋がる。このスピード感こそが、激変する市場を生き抜くための生命線となっている。

「オッサンの言うことは聞かなくていい」

最後に、起業や新しい挑戦を目指す若い世代へのメッセージを求めた。花生氏から返ってきたのは、既存の価値観を爽快に突き放す、愛あるエールだった。

花生氏は冗談交じりに、「今は若い人にとって最高の時代です。技術革新が激しい今、かつての『経験がものを言う時代』は終わった。若い人が一番よく知っている。上司の言うことを学ぶ必要なんてないんです」と語る。

転職が当たり前になり、自分の信じる道を選べる時代。社会に合わせるのではなく、自分がやりたいことを追求すれば、後から社会が付いてくる。その力強い言葉は、自身が「第2の創業」で体現している、飽くなき挑戦心そのものだ。

DRAX JAPAN。アジア発の黒船は、AIという知能と、日本を救うという大義を携え、世界の頂点へと駆け上がる。その足音は、日本のフィットネスシーンを、そして社会のあり方を、着実に変えようとしている。


DRAX(ドゥラックス)は、韓国国内において単なる一メーカーの枠を超え、「韓国産(K-Fitness)No.1ブランド」としての公的な評価実績も確認されています。具体的には、韓国政府機関である韓国スポーツ振興財団(KSPO)より、技術力・実用性・市場性を総合的に評価する「2025年 優秀スポーツ用品(Excellent Sports Equipment Award)」に選出。(Asia Economy報道)。

記事要約

  • 創業背景:1970年代後半創業の老舗「フィットネスアポロ社」を母体とし、2021年にコマーシャルフィットネス特化の「DRAX JAPAN」を設立(第2の創業)。
  • 事業内容::韓国ナンバーワンのトレーニングマシンメーカー「DRAX」の日本法人として、マシンの輸入販売およびトレーニング指導、ジム運営を展開。
  • 強み・特徴:世界最先端のAI・DX技術を搭載したマシン。ユーザーの疲労度や能力をAIが感知し、個人別のトレーニングプログラムを自動生成する。
  • ターゲット戦略:従来のジムが取り込めていなかった女性やシニア層を重視。運営ジムでは女性比率が約6割に達し、健康寿命の延伸による労働人口維持への貢献を目指す。
  • 組織文化: 極めてフラットで自由度の高い組織。業績連動型の評価とフレックス制を採用し、個人のアイデアと機動力を最大限に活かす環境を構築。
  • 今後の展望:日本市場でのトップ3入りを確実なものとし、親会社とともにグローバルでトップ3のシェア獲得を目指す。

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企業名
DRAX JAPAN株式会社
住所
〒164-0011
東京都中野区中央1丁目46番6号 アモダックビル2F

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