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「介護疲れ」のない社会へ。25年のサラリーマン生活を捨てて挑む、コーディアルサポート門田氏の「想い」と「挑戦」
コーディアルサポート株式会社
代表取締役 門田 英爾様
- 目次
日本の超高齢社会において、避けては通れない「介護」の問題。その最前線で、利用者の状況に寄り添った柔軟なサービスを展開し、注目を集めている企業がある。神奈川県茅ヶ崎市を拠点にデイサービス「ブルーミングケア 茅ヶ崎萩園」を運営する、コーディアルサポート株式会社だ。
代表取締役の門田氏は、大手生命保険会社で25年間勤め上げた後、未経験の介護業界へ飛び込んだ。なぜ彼は安定したキャリアを捨て、あえて過酷と言われる介護の世界に身を投じたのか。そこには、自身の原体験から紡ぎ出された揺るぎない「想い」と、家族を救いたいという切実な「挑戦」があった。
生命保険での25年で見えた「お金では救えない介護の現実」
門田氏のキャリアの原点は、アフラック生命保険株式会社での25年間に及ぶ勤務にある。そのうち約10年間は営業現場に身を置き、民間の「介護保険」の販売にも携わってきた。
「保険は、介護状態になった際にお金という経済的サポートを提供するものです。それは間違いなく必要なものですが、果たしてお金だけで解決できるのかと考えたとき、そうではないだろうと思いました」と門田氏は振り返る。お金というサポートだけでなく、もっと介護現場に近く、直接貢献できることはないかという思いは、次第に大きくなっていったという。
この漠然とした思いを決定的な行動へと変えたのは、自身の祖母の存在だった。少しずつ認知症が進行し、自分を認識できなくなっていく祖母の姿を目の当たりにした経験が、門田氏を突き動かした。「世の中には同じような状況に置かれている人たちがたくさんいる。その人たちに対して何かできることはないか」という想いが創業の原点となった。
2021年、門田氏はサラリーマン生活にピリオドを打ち、コーディアルサポート株式会社を設立。同年7月、理想の介護を形にするため、現在のデイサービス事業を開始した。
「介護疲れ」という言葉を社会からなくしたい
門田氏が経営において最も大切にしている信念は、極めて明確である。それは「介護疲れ」という言葉がなくなる社会の実現だ。
門田氏:「元気な人が介護をすることで、その人自身がだんだん元気じゃなくなってしまう。そういうのはやっぱり私はちょっと違うなと思っています」
この強い想いは、同社が運営する「ブルーミングケア 茅ヶ崎萩園」のサービス内容に色濃く反映されている。一般的なデイサービスが比較的自立度の高い利用者を対象とするのに対し、同施設では中重度の介護が必要となった方の受け入れを積極的に行っている。
門田氏は「基本的には受け入れは断らないようにしています」と述べる。定員超過や、施設では対応できない医療処置が必要な場合を除き、門戸を広げ続ける。それは、利用者の家族が介護から一時的に解放され、心身ともにリフレッシュできる時間を確保するためである。
「泊まれる個室デイ」と「早朝・深夜対応」が家族を救う
同社のサービスの特筆すべき点は、利用者の状況に寄り添った「柔軟性」にある。
一般的なデイサービスは夕方に帰宅するのが通例だが、同施設ではそのまま「宿泊」することが可能だ。しかも、リビングに簡易ベッドを並べるような形態ではなく、完全にプライバシーが守られた「個室」を提供している。
「預けていただくことによって、その1日とか2日とか、介護を完全に忘れることができるんですね。ものすごくリフレッシュできたとか、夜安心して眠れるようになったというお言葉をいただきます」と門田氏はその意義を説く。
さらに、営業時間の枠を超えた「延長利用」も実施している。早い時には朝7時過ぎに迎えに行き、夕食を済ませて19時に送り届ける。この徹底したサポートにより、家族は「介護があるから仕事を切り上げなければならない」という制約から解放されるのである。
1年以上休みなく現場を支え続けた覚悟
しかし、ここまでの道のりは平坦ではなかった。特に創業当初は深刻な人材不足に直面した。職員が定着せず、一人が辞めれば次の採用まで現場が回らなくなる。その極限状態を、門田氏は自ら現場に立ち続けることで乗り切った。
「2年前は、1年以上休みなく働きました。日勤やって夜勤やって、睡眠時間が1時間ということもありました。施設が回らなくなってしまうことは利用者様にご迷惑をかけることなので、それだけは避けなきゃいけないという一心でした」と当時の状況を語る。
この経験を経て、現在の組織は門田氏の理念に共感するスタッフによって支えられている。門田氏はスタッフに対し、「スキル以上に、どれだけ利用者様と向き合えるか」を求める。利用者を真剣に想う心があれば、自ずと創意工夫が生まれ、スキルは後からついてくるという考えからだ。
経営判断においては、1に「安全」、2に「衛生」、3に「楽しさ」という優先順位を徹底し、揺らぎない基準で現場を指揮している。
湘南エリアで「介護といえばコーディアルサポート」と言われる存在へ

創業から4年半。門田氏の挑戦は次のフェーズへと向かっている。現在、茅ヶ崎市内に2店舗目となる施設の出店準備を進めており、5年後には4店舗、10年後にはデイサービスだけで10店舗の展開を見据えている。さらに、デイサービスだけでは対応しきれなくなった利用者の受け皿となる、別業態の施設運営も視野に入れている。
「湘南エリアのところで、初めて介護認定を受けたとしたら、まず真っ先に思い出していただきたい、そういう存在になりたいなと思います」と門田氏は展望を語る。最後に、起業を志す若い世代へのメッセージを求めると、門田氏は自身の経験を踏まえこう語った。
門田氏:「サラリーマン時代の安定を捨てたことに後悔はないです。責任は非常に重くて、自分のプライベートなんてないに等しいぐらいでやらなきゃいけないときもありますが、自分の理想とするものを追いかけられるのは非常に楽しいです。もし後悔があるとすれば、もっと若い時に独立しておけばよかったなということだけですね」
異業種からの挑戦。それは「お金」という間接的なサポートから、「現場」という直接的な手助けへと舵を切った門田氏の、介護の未来を切り拓くための新たな一歩である。
門田氏の挑戦は、まだ始まったばかりだ。一人の元サラリーマンが灯した想いの火は、湘南の地から日本の介護の在り方を静かに、しかし力強く変えようとしている。
記事要約
- 創業の原体験:大手生保で25年勤務。営業現場で「お金」だけでは解決できない介護の現実を痛感し、祖母の認知症をきっかけに直接的な貢献を志す。
- 経営理念:「介護疲れ」を社会からなくすこと。家族が介護によって共倒れにならないよう、家族の元気も守るための施設運営を追求する。
- 事業の強み:中重度者の受け入れ、完全個室での宿泊サービス、早朝・深夜の延長利用など、家族の負担を軽減する柔軟なサービス提供。
- 組織の在り方:スキルよりも「利用者と向き合う想い」を最重視。家族を支えるという理念に納得し、共感したメンバーによる組織づくり。
- 今後のビジョン:湘南エリアでの多店舗展開(10年で10店舗)。デイサービスのみならず、重症化しても一貫してサポートできる新業態の展開も検討。
取材企業の概要
- 企業名
- コーディアルサポート株式会社
(ブルーミングケア茅ヶ崎萩園)
- 住所
-
〒253-0071
神奈川県茅ケ崎市萩園2363-1
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