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「買わない」という選択肢をつくる──不動産業界出身FPの挑戦
株式会社ライフオブライフ
代表取締役 鬼頭 良行様
- 目次
不動産購入は、人生における最大級の買い物である。しかし、その裏側には常に「売る側」と「買う側」の情報の非対称性が存在してきた。ハウスメーカーや不動産仲介会社は、物件を売ることで収益を上げるビジネスモデルであるがゆえに、時に顧客の将来的な家計のリスクを看過してしまう構造的な課題を抱えている。
その境界線に立ち、顧客の人生に寄り添う一人の経営者がいる。愛知県名古屋市天白区に拠点を置く株式会社ライフオブライフの代表取締役、鬼頭良行氏だ。同社は、住宅購入前の予算診断からライフプラン作成、不動産仲介までをワンストップで提供している。特筆すべきは、その徹底した独立性と「本音」の姿勢だ。
2016年の創業以来、一貫して「顧客の人生に伴走する」という哲学を掲げる鬼頭氏。不動産業界の常識を覆そうとする同氏の軌跡と、個人が抱える「住まいとお金」の不安を解消するための挑戦に迫る。
業界の「ノルマ」という壁と、抱いた違和感
鬼頭氏のキャリアの原点は、ハウスメーカーや不動産会社での勤務時代にある。日々の業務の中で、彼はある葛藤に直面していた。
鬼頭氏:「ハウスメーカーや不動産会社では物件を売ること、仲介することが主な事業でした。しかし、そこではなかなか『本音のアドバイス』ができなかったのです。営業としてのノルマがある以上、お客様の将来的な家計が厳しくなりそうだと感じても、『今は時期を先延ばしにした方がいい』とは言い出せない空気がありました」
「家を売りたい」企業と、「安心して暮らしたい」顧客。この二者の間に生じる利益相反こそが、鬼頭氏が感じていた違和感の正体だった。本来、住宅購入は人生を豊かにするための手段であるはずが、無理なローン設定によってその後の生活が圧迫されるケースを、彼は間近で見てきたのである。
鬼頭氏:「お客様に対して、もっと正直でありたい。将来の住宅ローンが厳しくなる兆しがあれば、それをはっきりと伝えたい」
その強い思いが、彼を独立へと突き動かした。不動産会社に勤めながらファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得し、2016年にFPオフィスLife of Lifeを設立し独立、その後2021年に満を持して「株式会社ライフオブライフ」(法人化により商号変更)を設立したのである。
収益ほぼナシからの船出「FPで食べていく」という孤独な挑戦
現在でこそFPという職業は認知されつつあるが、2016年当時はまだ稀有な存在だった。鬼頭氏の周りにも、FP実務のみで生計を立てている人物はほとんどいなかったという。
鬼頭氏:「本当に手探り状態でした。創業から1年間ほどは、FPとしての収益はほとんど立ちませんでした。正直、厳しい時期が続きましたね」
実績も知名度もない中でのスタート。しかし、鬼頭氏は「お客様のためになることであれば、何でもアドバイスする」という創業当時の志を曲げなかった。少しずつホームページを通じた情報発信を続け、誠実な仕事が紹介を呼び、一歩ずつ顧客の信頼を勝ち取っていったのである。
当初はライフプラン相談が中心だったが、徐々に住宅ローンや資産運用など、家計を丸ごと見守るコンサルティングへとサービスを拡大させた。顧客が求めていたのは、特定の金融商品を売りつける営業マンではなく、自分と同じ目線でリスクを語ってくれる専門家だったのだ。
「お客様第一」と「継続可能な経営」の絶妙なバランス
経営者として鬼頭氏が常に意識しているのは、理想と現実のバランスである。顧客の利益を最優先にする「顧客第一主義」を掲げながらも、一過性のボランティアで終わらせないための「適正な対価」の重要性を説く。
鬼頭氏:「あまりにサービスを安くしすぎて会社が成り立たなくなれば、お客様にサービスを提供し続けることができなくなります。しっかり価値を提供しつつ、対価もしっかりいただく。このバランスを維持することこそが、長期的な顧客への貢献につながるのです」
この考え方は、彼のコンサルティングスタイルにも反映されている。鬼頭氏のモットーは「人生の伴走者」であることだ。
鬼頭氏:「お客様の人生に対し、前に出すぎず、後ろにも下がらず、横に付くというイメージで接しています」
強引にリードするのではなく、意思決定の材料を提示し、顧客自身が納得して道を選べるようにサポートする。この絶妙な距離感こそが、多くの相談者に安心感を与えている。
第三者だからこそ言える「悪い結果」の価値
ライフオブライフの最大の強みは、住宅購入後の20年、30年先を見据えたシミュレーションにある。30代後半から40代の相談が多く、その多くが「本音で話せる場所」を求めて同社の門を叩く。
鬼頭氏:「最近は特に、セカンドオピニオンとして来られる方が増えています。保険や金融商品を売られる心配がないからこそ、本音のアドバイスが聞けると喜んでいただけます」
中には、シミュレーションの結果、今の予算では将来の家計が破綻するという「悪い結果」が出ることもある。しかし、鬼頭氏はそれを包み隠さず伝える。
鬼頭氏:「『今日お話し聞けてよかった。悪い結果であったとしても、事前に知れてよかった』と言っていただけるのが一番ありがたいですね。リスクはリスクとして伝え、お客様がどう対策を立てるか、自分で考えるきっかけを作ってあげる。こちらの意見を押し付けるのではなく、判断の材料を提供することが私の役割だと思っています」
住宅という「モノ」を売る立場であれば言いづらい助言も、ライフプランニングを主軸に置く同社であれば、顧客の未来を守るための「善意の助言」となる。
相談は「点」から「線」へ。人生の出口までをサポートする展望
鬼頭氏のサポートは、住宅購入というイベントで終わるわけではない。1回きりの相談で終わる顧客もいれば、総合的なコンサルティングコースを通じて、住宅購入前から引き渡し後、さらにはその後の資産運用まで数年にわたって関係が続くケースも多い。
鬼頭氏:「引き渡し後は、家計の相談や資産運用の話に内容が移っていきます。今後は、さらにその先の『相続』など、人生の出口と言える部分までトータルでサポートできる関係性を築いていきたいと考えています」
お金に関する悩みが生じたとき、真っ先に思い出してもらえる存在になること。それが鬼頭氏が描く5年後、10年後の会社の姿だ。また、これまでの個人向けサービスで培った知見を活かし、法人部門への開拓にも意欲を見せている。
起業を目指す人々へ。一歩踏み出す勇気の価値
現在、鬼頭氏は一人で全ての業務をこなしている。組織を大きくすることに固執せず、まずは目の前の一人ひとりに質の高いサービスを届けることを優先しているが、必要に応じて人員を増やす柔軟な姿勢も持っている。
会社員から独立という大きな決断を下した自身の経験を踏まえ、鬼頭氏は次世代の挑戦者たちにこうエールを送る。
鬼頭氏:「開業当初は不安しかありませんでした。でも、多額の借金をして始めるような事業でなければ、多少失敗してもやり直しはききます。まずは一歩踏み出してやってみることが大事です。やってみると、意外と慣れるものですよ。最初は苦労はあると思いますが、大きなやりがいも実感できると思います。」
時代の変化に合わせ、お客様のためになる新しいサービスを柔軟に取り入れ、変化し続けたいと語る鬼頭氏。住宅購入という人生の転機に、冷徹な数字と温かい伴走の両面から光を当てる彼の挑戦は、これからも多くの家族の未来を照らしていく。
記事要約
- 創業の背景:ハウスメーカーや不動産会社での勤務時代、営業ノルマのために顧客へ「本音のアドバイス(購入の見合わせ等)」ができない業界構造に疑問を抱き、独立を決意。
- 独自の提供価値:特定の金融商品を販売しないFPとして、20〜30年先を見据えたシミュレーションを提供。顧客にとって「耳の痛いリスク」も正直に伝えることで、高い信頼を得ている。
- 経営哲学:顧客の人生に「伴走する」ことを重視。前に出すぎず、顧客自身が判断できるための材料を提供し続ける。
- 今後の展望:住宅購入から資産運用、さらには相続まで、人生のトータルサポートを目指す。また、法人部門への進出も視野に入れている。
取材企業の概要
- 企業名
- 株式会社ライフオブライフ
- 住所
- 〒468-0009
愛知県名古屋市天白区元植田1丁目104 レインボー植田1102号
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